徳島空港で5日に起きた、着陸機と作業車両が衝突寸前になった、管制ミスによる重大インシデントでは、海上自衛隊員の管制官がタワーに1人しかいなかったことが明らかになりました。今日の報道では国土交通省が管制を行う空港以外にも、陸上自衛隊と航空自衛隊にはタワーでは2名以上の態勢をとる規定があり、海上自衛隊にだけ、その規定が無かった。と伝えられています。民間機が就航している空港でも、自衛隊や米軍が管制を行っているケースは少なくありません。写真は県営名古屋空港の管制塔の前を通過する、FDAフジドリームエアラインズの2号機エンブラエル170の到着機です。名古屋空港は、以前は国土交通省が管制を行っていましたが、民間航空路線のほとんどがセントレアへ移転した際に、愛知県が管理する空港になりました。管制業務は小牧基地の航空自衛隊が行うようになり、その後タワーも小牧基地に新築されました。
小松空港を離陸滑走中のANAエアバスA320の右側にグレーの管制塔が見えています。ここの空港は航空自衛隊小松基地に、民間空港が後付けされた形になっています。こちらの管制も航空自衛隊が担当しています。この他、茨木と米子は航空自衛隊、三沢は米空軍、岩国は米海兵隊が飛行場を管理し、管制も行っています。海上自衛隊が管理し管制業務をしている飛行場で、民間機と共用しているのは徳島だけなのですね。
最後にご覧いただくのは新千歳空港を離陸するAID-DOのボーイング767-300と千歳の管制塔です。このタワーで東側の新千歳空港と、西側の航空自衛隊千歳基地、両方の飛行場管制を行っています。両面にそれぞれ管制卓があり、別の周波数で2本づつある滑走路の離着陸機をコントロールします。ここの管制業務は航空自衛隊の千歳管制隊が行っています。昨夜のNHKテレビ「プロフェッショナル仕事の流儀」で「雪と闘うプロ」スペシャルが放送され、3人のプロの中の1人が新千歳空港のベテラン管制官でした。雪雲の動きを読み、滑走路面の状態を読み、着陸機の間隔を調整し、まさにプロの技を見せていました。彼は52歳で階級は制服から2等空尉です。幹部自衛官ではありますが、パイロットの自衛官であれば20代後半から30代前半で通過してしまうランクです。階級社会の自衛隊では管制官は下積みが長い職種のようですね。