本日のゲストは、今年1月に中国駐名古屋総領事として着任されたばかりの葛廣彪さんです。
着任早々ご登場いただけました。
葛廣彪さんは、1961年生まれ、中国山東省済南市のご出身です。
1984年に、湖北省武漢市の武漢大学をご卒業ののち、外交部職員として、
中国駐日本大使館の書記官、参事官などを務められました。
2005年2月から2006年12月まで、日本の中国駐大阪総領事館副総領事、
2012年2月から2013年12月までは、中国河北省滄州市の副市長を務められました。
今年1月、中国駐名古屋総領事館の総領事として着任されています。
私も緊張気味でしたが、総領事も全部日本語でお話し頂くというプレッシャーもあってか、前もってお渡ししておいた質問表をもとにお話しされました。
●真面目な性格の人々が好き
まず、今回赴任された名古屋や中部地方の印象をお聞きしました。
「私が名古屋へ赴任して参りまして、ちょうど三ヶ月が経ちました。
この三ヶ月間、愛知県、岐阜県、三重県を訪問して、三県の知事やいくつかの市の市長へ挨拶に回ってきました。また、経済団体、企業団体、文化関係や友好団体など中部地域の各界の皆様と会いました。
もちろん、中部地域に生活、仕事している沢山の華僑華人とも会いました。
行く先々で皆様に暖かくお迎えいただいて、皆様の中国に対する友好の熱意を感じて大変心強くなりました。
私はまだ中部地域のことは詳しく分かりませんが、印象を申し上げますと、
まず、中部地域の人々の性格が好きです。保守的だと言われますが、実は真面目で勤勉家ですし、何事にも黙々と頑張るタイプなので、私は大好きです。
また、中部地域は中国とはゆかりが深く、交流も非常に活発な地域で、いろいろなエピソードが過去にはありました。
例えば、中米国交樹立や中日国交回復に大きな足がかりを作った「ピンポン外交」が行なわれた地で、中国人に広く知られています。
私は先月、岐阜市にある日中友好庭園を見学しました。あそこは50数年前、中国杭州市市長と岐阜市長は「中日両国は世々代々友好しよう」と、「日中不再戦」との碑文を交換されたことを記念して建てられた公園です。
それを契機に両市が友好都市を締結しました。
現在中部地域と中国の間には45組の友好都市が結ばれています。
もう一つの印象は中部地域と中国の経済協力が非常に緊密であることです。
トヨタをはじめとする4000社以上の日本企業が現在中国に投資進出していますから」
●自然が好きで、日本の歴史にもお詳しい総領事
次の質問では、総領事のご趣味などが知りたくて「こちらに赴任して、何か楽しみにしていらしたことはありますか」とお訊ねしました。
「私は今度の名古屋勤務で、四度目の日本駐在です。これまで東京や大阪で合計15年日本に勤務した経験があります。
初めての名古屋ですけど、これからの仕事や生活を大変楽しみにしております。
一つは、自然とのふれあいを楽しみにしています。中部地域は北に日本海、南に太平洋を面して、内陸には高い山も大きな川もあって、非常に自然に恵まれています。
機会があれば、黒部峡谷、熊野古道、越前海岸、富山の雪の大谷などを見に行って、雄大な自然とふれあいたいです。
もう一つは文化とのふれあいです。
中部地域は歴史や文化も豊かな地域です。
織田信長、豊臣秀吉や徳川家康、三英傑の生誕地が全部ここですね。
また、中部地域も多くの日本文化の発祥地でもありますね。
私は先週高山市を訪問して、世界遺産の白川郷や日本三大美祭の高山祭を見学しました。
また先月も三重の伊勢市や鳥羽市を訪れて、日本人の心の故郷の伊勢神宮をお参りしました。そして海女文化も体験しました。本当に素晴らしかったです。
最後に、一番大切なのは人とのふれあいです。
私はもっと多くの各界の皆さんと親しく交流して、友人を沢山作りたいと思います。
私は微力ですが、努力することで、中部地域の多くの日本人の皆さんに中国を知ってもらい、
中国を好きになってもらいたいです。
また、多くの中国人に中部地域の良さを知ってもらって、中部に来てもらえばいいと思います」
●ウィンウィンで発展したい
最後には、定番ですが、「総領事としては、中部地方の人々にどんなことを伝えていきたいか、また反対に、中国の人々に中部地域のどんなことを伝えていきたいのか」を質問しました。
「私は中部地域の皆さんに、そして中国の皆さんにも伝えたいのは、相互理解、相互尊重、それに相互交流の重要さです。中日両国は近隣同士ですが、逆に距離が近すぎたり、行き来が多かったりで、摩擦が起こりやすいです。
遠くにいる友は良く見えるが、近くにいる友は欠点が見えやすいのと同じです。
しかし、近い隣人は遠い親戚に勝るということわざのように、中日両国は平和友好、ウィンウィンで発展の道を歩まなければなりません。
今両国民には相互理解が足りないのが事実です。百問は一見にしかず。
両国民はもっと相手の国を訪問して、相手の人と交流して、自分の目で確かめて、自分の身で生の中国と日本を感じなければなりません。
最近ネットで中国人観光客の訪日感想を書く記事をよく見かけます。
中国人は日本を訪問して、町が綺麗だとか、サービスがいいとかなど、日本の印象が大きく変わります。
同じように、日本人は中国を訪問して、中国の目覚しい発展の姿を見て、中国の人々と交流すれば、中国への印象も必ず変わると思います。
先日新聞で一人の日本人の女子中学生の体験談を読みました。
彼女は昔、中国のことを知らなかったし、関心もなかったですが、お父さんの仕事の関係で、中国広東省で二年間生活しました。活力あふれた中国の発展や中国人の親切さに感動し、中国のことが好きになるようになりました。
彼女は、中国に行かなければ、中国人と直接触れ合わなければ、本当の中国を理解することができないと交流の重要さを訴えていました。
このような相互交流を通じて、客観的かつ公平な目で相手を理解し、誤解や偏見を取り除くことで、必ず両国関係の改善はできると確信しております。
私の口だけの宣伝より説得力が大きいと思います」
ちょっと香川照之に似た感じの葛総領事は、実はとても気さくで陽気な
お人柄なんだそうです。今日は「誤解を招く表現があっては…」と思われたんしょうね、質問への準備は完璧、わかりやすい正確な日本語でお話してくださいました。
葛総領事には、来週もご登場いただきます。お楽しみに!
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第120回中国駐名古屋領事として着任して①
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