東海ラジオ 3月8日(土)の『ごぶサタデー』で紹介するのはこちらの本、
『引き裂かれた絵の真相 夭折の天才 村山槐多の謎』です。
槐多自身による自画像が表紙で、非常にインパクトがあります。
でも・・・実は私、この村山槐多という画家を知らず、最初はあまり読む気になれなかったのですが、いや~~、なかなか面白い本でした。
村山槐多は、地元 岡崎出身で22歳の若さでなくなった天才画家で、技巧派ではありませんが、情熱的な筆遣い、色使いの作品を残した人だそうです。
この本は、その天才画家の作品だと思われてきた『日曜の遊び(裸婦と男たち)』という大作が、実はいとこである日本版画界の重鎮 山本鼎の作品ではないかと 後に報道され、世に衝撃を与えた事実を再検証し、本当は誰の作品だったのかを探る美術ドキュメンタリーです。
著者は、岡崎市美術博物館学芸員の村松和明(やすはる)さん。27年前に山本鼎の作品として美術館に持ち込まれた作品を23歳の時に目の当たりにし、不思議な存在感に圧倒されたとのこと。しかし山本鼎の作品としては、作風や色調、画中の通俗的な雰囲気から違和感を感じ、作者が本当は誰なのかと調査を始める…というもの。
ご本人自身、四半世紀にわたる調査になろうとも思わなかったそうですが、本当に多数の皆様の証言を集めらています。また、こういう検証の仕方があるのかと驚いたんですが、当時の絵の具を、絵の横に散った部分などから成分を分析したり、紙を分析する専門の方がいたりと知らない世界でびっくりしました。
本の中には村山槐多の作品もたくさん収められていますので、その生き生きとした飛び出してきそうな絵の迫力に圧倒されることと思います。専門家の間では有名な村山槐多だそうですが、ぜひより多くの方に知ってもらいたいなと思います。
この本を今週も3名の方にプレゼントします。
ごぶサタデー11時30分ごろお聞きくださいね。
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『引き裂かれた絵の真相 夭折の天才 村山槐多の謎』
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