航空自衛隊の大型ヘリとANA機、JTA機が絡む一歩間違えば大惨事になりかねない「重大インシデント」について、新しい情報が伝えられています。まず、自衛隊ヘリのパイロットがANA機に対して発せられた離陸許可を、自らへの離陸許可と誤認した件について、コールサインの違いから考えられない!と、昨日書きましたが。自衛隊へりのコールサインが「クレスト」ではなく「ポニー」だったことが分かりました。昨年、自衛隊機のコールサインが一部変更されたようですが、その対象になっていたようです。「オールニッポン」と「ポニー」早口の巻き舌で発音すると、聞き間違いが無いとは言い切れないかもしれません。しかし、コールサインの後の数字はANAが1694「ワン・シックス・ナイナー・フォー」空自ヘリが41「フォー・ワン」ですから、これを誤認してはまずいですね。中谷防衛大臣は今日(5日)の会見で、今回のトラブルの原因は航空自衛隊のCH-47Jにある。と報告を受けていると述べました。空自ヘリからの、誤認した復唱を管制官が聞いていない点も報道されています。ANA機の正しい復唱と混信したのか?そもそも復唱をしていなかったのか?調査の進展を待ちたいと思います。
今日の写真は今年2月、宮古空港から那覇空港へ私がフライトしたJTA機が、インシデントが起きた一昨日と同じ滑走路RWY18に着陸していましたので、そのときに撮った窓の外の様子をご覧いただきましょう。23A席から那覇港の外側の防波堤を通過したところでシャッターを切りました。左端の陸地に白っぽく見えるのは普天間基地です。
那覇空港のRWY18に着陸するヒコーキの、左窓側席目線で撮った写真をご覧いただいています。空港の護岸が左下に見えています。以前国内線ターミナルがあった場所の駐機場にANA機が2機駐機していますが、手前がボーイング777-300、奥が777-200です。海を挟んだ向こう側には、那覇市の中心部が望めます。滑走路の先端まで、あと1kmほどありそうです。この位置でゴーアラウンド(着陸やり直し)の指示があれば、安全に対処できたと思います。
宮古空港から私が乗った、JTA日本トランスオーシャン航空のボーイング737-400が那覇空港のRWY18に着陸しました。左前方に管制塔が見えますが、那覇空港の管制塔は滑走路の中央よりも、やや南側に位置しています。今回離陸を取りやめたANAのボーイング737-800は管制塔よりも少し先で緊急停止しました。その直後に着陸したJTAの737-400は滑走路の中心よりも手前の、RWY18の先端から約1,400m地点にある、逆方向からの着陸機のための、高速脱出誘導路をV字形に左折しています。
JTAは旧石垣空港の1,500m滑走路でB737-400を運用していましたが、私が乗った与那国からの便は石垣空港の滑走路先端から1,200m地点でUターンしていました。強めのブレーキをかければANA機の手前で止まれる確信があったのでしょう。実際、一昨日の場合もANA機とJTA機の間には400〜500mの間隔があり、ANA機に追突せず、安全に停止できるというJTA機のパイロットの判断は適切だったと思います。
一方、前方にヘリを見つけて離陸を中止したANA機のパイロットの判断も当然でしょう。もし、ヘリが横切るタイミングが少し遅かったら?滑走路内で停止できずにオーバーランするか、離陸せざるを得ずに空中衝突してしまう危険が増したと思います。大事に至らずに本当に良かったと思いますが、離陸のためフルパワーで加速中に緊急停止したANA機は、機体に相当なストレスがかかったと思います。