昨夜のテレビニュースが「フランスの検察当局が、ジャーマンウィングスの墜落機の副操縦士が、故意に墜落させた可能性が高いと発表した」と、伝えました。実に速やかな情報公開をしたと感じました。機体のトラブルも、急病説も全て吹き飛び、事故ではなく事件だったことがボイスレコーダーの解析で明らかになった訳です。思い出したのは昨年3月、マレーシア航空のボーイング777が消息を絶ち、いまだに機体の破片も発見されない事件です。このときはマレーシア当局の情報隠しが甚だしかったことが思い出されます。元JAL機長の航空評論家、杉江弘さんが上の本の中で、機長が意図的に消息を絶ち、発見が難しい海域に墜落させたと推論しています。杉江さんは今回の事件でも、テレビの情報番組に出演していますが、ロックされたコックピットのドアは複数の人間が体当たりしても開かないこと、などを説明していました。
写真はジャーマンウィングスの親会社、ルフトハンザドイツ航空のエアバスA380です。2010年にフランクフルトからの到着便を成田で撮影しましたが、現在は日本にこの機種は乗り入れていません。ルフトハンザのエアバスパイロットの頂点に立つ技量や経験の持ち主が、この機種を操縦すると思います。今回、故意に墜落させた28歳の副操縦士は子供のころからの夢を実現させパイロットになった、と伝えられたいます。10代でグライダーの操縦免許を取ったほどですから、根っからのヒコーキ好きだったのでしょう。そのような青年パイロットが何故149人の罪のない、乗客・乗員を道連れに命を絶ったのか?この点は謎が残ります。フライトレコーダーのデータが今後、解析できたとしても、墜落させた動機は判りません。
写真は羽田を離陸するルフトハンザのミュンヘン行きエアバスA340-600です。ルフトハンザは2大拠点空港のフランクフルト・ミュンヘン以外の都市から、ドイツ国内やヨーロッパ域内を結ぶ路線を、子会社のLCCジャーマンウィングスに移管し、デュッセルドルフ空港の便もジャーマンウィングスが運航しています。墜落機のボイスレコーダーには、機長と副操縦士は直前まで普通に会話していたこと。機長が操縦を代わるように頼み、コックピットを離れたこと。
機長がドアを開けてくれと声をかけ、ドアを強くたたいても応答がなく、地上の管制官が呼びかけても応答がないこと。そして副操縦士は普通に息をしていたこと、墜落直前に乗客の悲鳴が上がったことが記録されていたということです。今後の捜査で動機が解明されるといいのですが、いくつかの仮説を考えますと ・テロリストに洗脳されていた。・精神状態に問題があった。・1人で操縦するときに着用する酸素マスクに薬物が仕込まれていた。などですが・・・
こちらの写真はセントレアからフランクフルトに向かうルフトハンザのエアバスA340-300です。今回の事件は9.11同時多発テロ以降、強化されたドアとコックピットのセキュリティシステムにより、ドアが外から開けられず、機長が操縦室に戻れずに悲劇となりました。パイロットの1人が席を立つときは、客室乗務員がコックピットに入るなど対策をとるエアラインもあるようです。女性乗務員は心臓発作などには対応できても、悪意を持って墜落させようとするパイロットを防げるでしょうか?
そもそも乗客の安全を第一に考えるはずのパイロットが、このような行動を取るなど、あってはならないことですが、現実に起きた以上、再発防止策を航空業界全体で知恵を絞って見つけてほしいものです。