今週は先週に引き続き、中国笛の奏者で作曲家、さらには愛知大学大学院で研究活動もなさっているという、多才な中国人、劉一(リュウ・イー)さんをゲストにお迎えしています。
先週は、小学生時代から笛を始められたお話と、2004年からは「Togi+Bao」(トーギ プラス バオ)の活動に加わったお話をお聞きしました。
「Togi+Bao」でのツアーを通じた、日本や日本人の印象はいかがでしたか。
「日本の空気とまちがきれいだったことと、日本人の皆さんがマナーをよく守っていることが印象的でした。日本のファンがとても熱いことにもビックリ!
コンサートのあと、玄関の前に待っていて、プレゼントをたくさんいただきました。」
きっと劉一さんが魅力的だったからでしょう(笑)。
日本との関わりがいよいよ強くなった劉一さんですが、実は日本でステキな出会いがあったんですよね。
「ちょっと恥ずかしいんですが…日本でも有名な中国琵琶の奏者、ティンティンさんと出会って、結婚しました。」
ティンティンさんはとてもお美しい上、中国琵琶の奏者としてだけではなく、中部大学で教鞭も取っていらっしゃるという才色兼備の中国人女性です。
私はティンティンさんにお目にかかってお話をお聞きしたんですが、劉一さんのコンサートで笛の音色を聞いた時、すぐに恋に落ちたとおっしゃっていましたよ。
「え〜、そうですかァ…(笑)。以前は自分の作品だけの作曲をしていましたが、ティンティンさんと結婚してからは、二人のための曲や、彼女のための曲を作るようになりました。知り合ったことによって、音楽の幅が広がったと思います。」
お子さんも2人お出来になって、ご長男の霖軒くん(6歳)も含めて、今年の春には、ご家族での演奏会をされたんですね。
「はい。ティンティンさんが琵琶、私が笛、長男で六歳の霖軒が、中国語で般若心経を読むという、『春雨』という曲です。最後に聞いていただきます」
さて、プロの中国笛演奏家の劉一さんのもう一つの顔、愛知大学大学院生としてのお話をお聞きしたいと思います。
劉一さんの研究内容は、どんなものですか。
「現在大学院で研究している内容は音楽人類学といいます。具体的な内容としては、世界無形文化遺産の、中国福建省の南音という音楽です。
南音は中国でも最も古い音楽で、その歴史は唐の時代にまでさかのぼります。
この南音を奏でる伝統楽器の中に、日本の尺八、三味線、琵琶などととてもよく似た楽器があるんですね。
その興味から、中国南音の楽器と日本の古典楽器のつながりを研究しているという訳です。まだこうした研究は、今までされていません。」
まだ愛知大学の大学院には入学されたばかり。今後の研究活動のご予定は…
「今年の4月に入学したばかりですから、まだ3年近く勉強と研究をしなくてはなりません。
来年(2015年)の3月から、中国北京の人民大学へ1年間留学します。
愛知大学と人民大学は、単位交換(相手の大学で取った単位が時分の所属する大学の単位として認定される制度)があります。
いまは人類学を学んでいますが、向こうでは社会学を研究する予定です。
向こうへ行ってから、現地(福建省)へ行って調査をする予定です。
中国から来て、中国へ留学するというのは面白いですね。 (笑)」
このあとの演奏活動の予定は・・・
「来年(2015年)1月6日(火) 午後1時30分〜3時、名古屋市中区の宗次ホールで開催される「スイーツコンサート」に出演します。
中国と日本の童謡をテーマにしたコンサートで、私の笛と一緒にティンティンさんの中国琵琶の演奏もあります。みなさん、ぜひいらしてください。」
*劉一さんの曲演奏「春雨」
最後に劉一さんには、お話にあった「春雨」という曲を、聞かせていただきました。
ステキな曲でしたよ〜。
お聴きになりたい方は、アルバム「春は花」(6曲入り2160円・オンライン通販)をお求めになれば入っています。
1月6日のコンサート、ぜひお出かけ下さいね。私も行こうと思っています。
来週は、愛知大学現地プログラムについて、担当をされた愛知大学現代中国学部准教授の木島史雄さんをゲストにお迎えします。
どうぞお楽しみに!
(通算153回目)
「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝