本日のゲストは、先週に続き、今年1月に中国駐名古屋総領事として着任されたばかりの葛廣彪さんです。
先週は私も緊張気味でしたが、さすがに今週は少しリラックス、少しですが、プライベートなお話もお聴きできたように思います。
今週も総領事は、質問表をもとにお話しされました。
出身地は歴史・文化のまち
総領事は山東省済南市のご出身。山東省ってどんなところですか…と、お聞きしました。
誰でも故郷のお話には熱が入ります。葛総領事も故郷のお話を楽しそうになさいました。
「山東省は歴史や文化で非常に有名です。
特に『一つの山、一本の川、一人の聖』で知られています。
一つの山は泰山という歴代の皇帝が封禅の儀式を行う山です。
中国人にとって、日本で言う富士山のような存在です。
しかも、泰山と富士山が友好山です。
一本の川は黄河という川です。
黄河が南の揚子江と一緒に、中華民族の母なる川です。
そして、一人の聖人は孔子です。
我々両国は今も孔子や儒教の影響を大きく受けています」
葛総領事の「葛」は、諸葛孔明の葛、やっぱり歴史のまちのご出身らしいですね。
「皆さんは、私の故郷の済南市を多分知らないでしょうが、青島はお分かりでしょう。
済南市は青島市の西約300キロの内陸部にあります。
済南市は山東省の省庁所在地で、人口が約700万人で山東省の政治、経済、文化の中心です。済南市は市内に72箇所の湧き水があり、「泉の町」として親しまれています。
私は仕事で長年故郷を離れていますが、故郷を心から愛していますので、ぜひ中部地域の皆さんが私の故郷の山東省や済南市へいらしてください」
ぜひ一度、山東省を訪ねて見たくなりました。
スキー好きの総領事
総領事のご趣味の話をお聞きしました。スキーに温泉、グルメとお話は広がります。
「私には色んな趣味があります。
特に新しいことに好奇心があって、なんでも挑戦したいタイプです。
特にスキーが大好きです。
名古屋へ来て間もなく、一度スキーに行きましたが、いきなり上級コースを滑りました。
ちょっと怖かったですが、急斜面から一気に降りるスピード感が本当に最高の喜びです。
中部地域には一流の天然スキー場が沢山あると聞きましたので、今年の冬からチャレンジしてみたいと思います。
温泉も大好きです。特に山奥あるいは海辺の閑静な大自然の中の野天風呂で、日々の疲れをのんびり癒すのが最高に気持ちいいですね。
下呂温泉に行ったことがありますが、これから中部地域のほかの名湯も巡りたいと思います。
美味しいものを食べるのも大好きです。
ここ中部地域はグルメの天国といってもいいでしょう。
飛騨牛、松阪牛、福井の越前蟹、伊勢湾のトラフグなど、山の幸も海の幸も何でもありますね。ひつまぶしや手羽先などのなごやめしも大好きです。
とにかく、私が好きなものが全部中部地域に揃っていますね。
名古屋に来て幸せだなとも感じました。
これも多分私と中部地域のご縁かもしれません。
これからも仕事に努力すると共に、名古屋や中部地域のことをもっと勉強して、名古屋での生活を楽しく過ごしていきたいと思います」
もう、すっかりこの地での生活を楽しまれている様子の総領事でした。
これからの両国の友好関係は、相互理と互交流から
最後に、これからの日本と中国の関係をどう考え、友好関係をどう築いて」いけばいいのかについてのご提言をお願いしました。
「いま、両国関係はかってない困難な局面に陥っています。
今の両国の関係は、両国の利益にも合致しないし、両国民の願いにも背くものだと思います。
政府同士の努力はもちろん大事ですが、困難な時期だからこそ、国民同士の交流がなおさら大事だと思います。
この厳しい時期に、名古屋へ赴任して、その責任の重大さを痛感しました。
私は中部地域各界の皆様のご支援のもとで、中部地域と中国の民間交流や地方交流を促進していきたいと思います。
中部地域は日本の製造業中心であり、私は総領事として、積極的に橋渡し役を果たして、日本企業の中国投資進出や双方の経済貿易協力をサポートしたいと思います。
また、中部地域の特長をもっと中国国内にPR して、中部地域の知名度を高めたいと思います。ほかには、前回も触れたように、両国民の相互訪問や相互交流が非常に大事ですので、地方同士の交流を通じて、文化、教育、観光、青少年など各分野の民間交流を促進させ、両国民の相互理解や友好感情の促進に繋がりたいと思います。
日本はかつての高度成長期に、環境公害問題に苦しめられた苦い経験がありました。
今の中国も正に同じ発展段階に入って、同じ問題に直面しているところです。
私は先月三重県の四日市市を訪問しました。
四日市市は昔の公害が深刻な町から、青い空や綺麗な空気を取り戻して、環境保護のモデル都市へと変貌しました。
このような日本の経験を今の中国が非常に必要としておりますので、双方は環境分野の協力において、大きな潜在力があると思います。
最後に、中日関係について簡単にまとめると、我々は中日関係の厳しい現状に直面して、中日友好の信念を失ってはならず、そして勇気を出し、両国関係を大事に守らなければなりません。
双方で手を取り合って努力すれば、中日関係は必ず厳しい冬を乗り越え、暖かい春を迎えられると確信しております」
2週に渡ってお届けした、中国駐名古屋総領事、葛廣彪さんのお話はいかがでしたでしょうか。
日中交流の必要性という重要な事柄についてお話になると同時に、スキーでいきなり上級コースに挑戦したり、温泉でくつろいだり、名古屋飯を楽しんだりする総領事のプライベートな姿も少しはお伝え出来たんではないかと思っています。
来週は、今年1月に3日間に渡って行われた「名古屋中国春節祭」で、実行委員会の委員長を務められたニエ・アールチョンさんにご登場いただきます。
ニエさんは、中国では有名な雑技団でも活躍されていたというユニークな 経歴の持ち主なんですよ。
きっと興味深いお話がお聞きできるでしょう。どうぞお楽しみに!
(「チャイナ・なう」パーソナリティー 高野史枝)
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第121回中国駐名古屋領事として着任して②
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